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庭に宿る虫

虫達は庭の有機物の分解促進をしたり、植物の受粉の手伝いをしたり、鳥達のエサになったり、環境変化のバロメータになったりします。あなたはどれくらい庭の虫達について知っていますか?


ある晴れた日、デジカメをマクロモードにして庭に出てみます。畑の中をひらひらと飛び回るモンシロチョウやぶんぶんと音を立ててせわしなく動き回るミツバチの姿がまず目に入ってきます。虫達の姿に焦点を合わせて庭を回るうちに、今度はハーブの花に集まる益虫、野菜の葉にしがみついている青虫、アブラムシの集団、そのまわりを往来するアリ達やテントウムシなどが見えてきます。耳をすますとミツバチ以外の虫の羽音が聞こえてきます。風の音が聞こえてきます。そしてかすかな風の動きや日射しの変化に反応して葉陰から出てきたりまた隠れたりする体長5ミリにも満たない小さな小さな虫達の気配が身近に感じられるようになってきます。意識がミクロの世界へ到達して自己の存在が虫達と等身大に感じるような錯覚に陥ります。

そこは絶えず生死のドラマが繰り返されている虫達の世界。小さな我が家の庭でも、数え切れない程の虫達が生を授かり、また短い一生を終えていく舞台となります。全ての虫達がその短い生涯の中である時には害虫と呼ばれたりまたある時には益虫と呼ばれたり、食べたり食べられたりという食物連鎖の輪を形成しています。全ての虫達がこの輪の中でそれぞれの役割を果たしています。全ての生物がこの自然の中でつながりあっています。

テントウムシとアリ
テントウムシとアリ。テントウムシは11個の点があるタイプ。テントウムシは一般的にアブラムシ、ハダニ、カイガラムシなどの害虫をエサにする益虫としてみなされています。欧米では害虫のバイオ・コントロールのために販売もされています。
黄色いテントウムシ
学名をIlleis Galbulaという黄色いテントウムシです。こちらもアブラムシを食べてくれるガーデナーの友です。
黒いテントウムシ?
これもテントウムシみたいだけど正体不明。ナミテントウムシの亜種でしょうか?
とんぼの抜け殻
トンボの抜け殻です。トンボと糸トンボのヤゴはぼうふらを食べて蚊の増加を防いでくれるので池の管理になくてはならない存在です。
とんぼ
左の抜け殻から孵化したばかりのとんぼです。赤トンボくらいの小さいサイズですがオニヤンマのような模様でしっぽの部分がきれいな青でした。
蜘蛛につかまる糸トンボ
自然は時に残酷なもの。こんなドラマが日々繰り返されています。蜘蛛に捕まったブルーの糸トンボ
モンシロチョウの卵
ブロッコリの葉につくモンシロチョウの卵。この段階で払い落とすのが一番効果的
モンシロチョウの青虫
モンシロチョウの青虫。夏の鶏の蛋白源。
モンシロチョウ
モンシロチョウ。猫の遊び道具。
Codling Moth
ぶどうやパッションフルーツ等の蔓科の植物につくPassionvine Hopperという害虫です。
Leafroller Moth
ハマキガの仲間
セセリ蝶
ヘベの蜜を吸う小さなセセリチョウ。
青虫
正体不明の幼虫。青虫と芋虫を足して二で割ったみたい。愛嬌のある顔をしている。
さなぎ
正体不明のさなぎ。多分モンシロチョウだと思います。
蝶
ヒメジオンの蜜を吸う蝶。
毛虫
毛虫を見ただけで何の幼虫かわかるようになりたいもんです。これはどんな蛾になるんだろう。
毛虫2
パイナップルの葉っぱに潜むグロテスクな平たい毛虫。
スズメガの幼虫
スズメガ或いは何とかウワバの幼虫。鶏の大好物。
孵化した蛾の抜け殻
購入したジャーマン・セージの葉っぱについていたさなぎが孵化した抜け殻。
孵化した蛾
左の抜け殻から出てきた成虫。
タイガーモス
ヒトリガはこの派手な色彩によって敵に「私はおいしくないですよ〜。毒があるかもしれませんよ〜」と宣伝してるのだとか。幼虫は落ちた花とか葉っぱとかをエサにする庭の掃除屋さんです。
灰色アブラムシ
野菜畑にオトリとして植えているマスタードの花芽につく灰色のアブラムシ。アブラムシは暖かい時はメスだけで繁殖し、寒くなると越冬する卵を作るためにオスを産むという変わった習性を持っています。
緑のアブラムシ
ハイビスカスの蕾につく緑色のアブラムシとコナジラミ。その後の運命はこちら
ミカンクロアブラムシ
オレンジの葉につく黒いアブラムシ。アブラムシが発生した時は植物の育成条件を見直す良い機会です。
カゲロウの卵
ハイビスカスの葉っぱから垂れ下がっているクサカゲロウの卵です。日本では 優曇華(うどんげ)の花というらしい。
クサカゲロウ
トウモロコシの葉っぱにとまっているクサカゲロウの成虫。体長は2センチにも満たなくてとても可愛い顔をしている。クサカゲロウの幼虫は農作物に害を及ぼす虫を何百匹も食べてくれる有り難い存在。
黒い虫
ブロッコリの葉の白い部分にとまっている。湿ったところが好きで幼虫は植物の根や腐食した植物などをエサにするらしい。
Longleggedfly
足の長いとても小さなハエの仲間です。アシナガバエはオーストラリアに320種類もいるそう。
Longleggedfly
メタリックな蚊みたいだけどこれもアシナガバエの仲間。アブラムシなどを食べてくれるお利口さん。ソラマメの葉っぱにとまっています。
Smallfly
これも同じくメタリックな小さいハエ。トウモロコシの葉っぱにとまっているところ。実物は写真よりずっと小さい。
緑のハエ
いわゆる銀バエとかアオバエの仲間。メタリックなグリーンが美しいけどブーンブーンとうるさい。暑いときに鶏ふんに寄ってきます。
ハエ2
うーん、ハエなんだかアブなんだかよくわからない正体不明者。ウマバエかな?紫キャベツの葉の上で。
ハエ3
ニクに卵を産み付けるからニクバエっていうらしいです。3本のストライプが特徴。
スズメバチ
外来種のスズメバチ。猫が必死に追いかけるけど早すぎて捕まえられない。刺されるからやめなさいって。写真撮るのも一苦労。
ハナアブ
ハナアブの一種です。これも受粉のエキスパート。ハナアブの多くは幼虫の時にアブラムシを食べてくれます。メスがアブラムシの集団の中に卵を産み付けるのだそうです。
ハチ
ハナダカバチの仲間? ミツバチより一回り小さいです。ヤロウは本当に様々な益虫を引き寄せてくれるものです。
コンボウヤセバチ
このとんでもなく長い体をもった虫は実はコンボウヤセバチというハチの一種だそうです。受粉の手伝いをしてくれます。オーストラリア全土で見られます。ヤロウの花の蜜を吸っています。
ジガバチ
ジガバチ(ヒメバチ)の一種で特定の虫の寄生虫となります。よって害虫のバイオ・コントロールに重宝がられています。
ミツバチ
受粉の達人ミツバチ。紅花インゲンの花を受粉中。
ヒロクチバエ?
飛んでいないときにも羽を旋回させて動き回る変わった動作が特徴。
サソリムシ
トウモロコシの葉の上にとまっているサソリムシ。お尻の部分がさそりのようです。成虫は死んだ虫とか蜜などをエサにします。クモから獲物を横取りすることもあるらしい。
イトカメムシ
イトカメムシ。トウモロコシの葉の上で。
コガネムシ
カウボーイ・ビートルといわれるコガネムシの一種。木や灌木の花の蜜や花粉をエサにします。
チャイロコメノゴミムシダマシ
チャイロコメノゴミムシダマシという舌を噛みそうな名前の虫。貯蔵穀物につく虫らしい。
赤い虫
トウモロコシの穂先にとまっているとても小さいカメムシのような虫です。
キリギリス
夜にいい声で鳴くキリギリスの一種。幼虫は花や葉っぱをつまみ食いするけど被害になるほどではありません。成虫は緑だけど幼虫は食べるものの色に左右され、紫の花を食べると紫の体になるそうです。ネクタリンの葉の上で。
ハサミムシ
ハサミムシ。昼間は何かの隙間に隠れていて夜に野菜をつまみ食いするけど虫を食べることも。鶏の大好物。これは寄生虫にやられているのか背中がちょっと変。
Stick Insect
まるで木の枝のようですが、実は葉っぱから落ちないようにしっかりしがみついている虫なのです。カムフラージュもここまで来るとお見事。自分でもよく見つけたもんだ。
白い蜘蛛
蜘蛛の種類だけでもとても多い。これは白くて半透明のもの。
茶色い蜘蛛
蜘蛛は生態系バランスに欠かせない存在。
赤い蜘蛛
これはかっこいい蜘蛛ですね。

こうやって見てみるとたかが宅地の小さな庭でもずいぶんといろんな虫の大切な住処になっているのだなと責任さえ感じてきます。それにしても自分の庭にいる虫達のうちカメラに収めたごく一部でさえ、名前のわからないものがいっぱいあって無知をさらけだしているようなものですね。自分の庭にどんな虫達が住んでいるのかきちんと把握していない、生息を確認したものでもその生態はおろか名前さえわからない、恥ずかしながらそれが現実です。そして実際、人間は地球上に生息する虫とか土壌菌の働きのほんのごく一部しか把握していないのです。人間の知識の範囲で害虫だと思われている虫が人間の知識外のところで大切な役割を果たしていることもあるかもしれません。

デビッド・スズキ博士の講演会に行ったとき、博士は害虫駆除のために殺虫剤を使うことは、殺人犯二人がある都市に潜伏していて危険だからといってたった二人のためにその都市に爆弾を落として罪のない多くの市民を巻き添えにするようなものだとおっしゃっていました。もっと謙虚になってせめて家庭菜園ではこのような行為は避けたいですね〜。


お願い
このページに載せた名無しの昆虫さんの分類名を知っている方、また分類の間違いに気づかれた方、メールでお知らせいただければとても嬉しいです。撮影場所は全てオーストラリア南部メルボルン近郊の我が家の庭です。(英名・学名がわかっているものに関してはカーソルを写真の上に載せるとポップアップが出るようにしています。)

初筆−2004年5月


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